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2026年4月29日 ❘ 活用事例

整形外科クリニックにおけるBREVI活用事例
〜術後のリハビリテーションにおける呼吸評価と介入〜

齋藤将也さんが患者さんに施術している様子

臨床現場では、整形外科で来院される患者さんに対して「疼痛」「筋力」「可動域」へのアプローチが中心となることが多いですが、実際には呼吸パターンがそれらの運動機能障害に影響しているケースもあります。特に手術後の患者さんでは、術後の炎症・疼痛や固定期間の影響により、胸郭周囲の筋緊張や防御性収縮が強くなることがあり、このような状態では、関節への局所的アプローチだけでは十分な改善が得られないことがあります。こういった場合に、呼吸パターンに着目した介入を実施されている専門家の方々がいらっしゃいます。

「BREVI」は、国立大学法人東京科学大学(旧 東京医科歯科大学・東京工業大学)の認定ベンチャー企業である株式会社Vitalizarが開発した、専門家向け呼吸状態計測アプリです。施術前後の呼吸状態について数値をもとに状態を共有できるため、来院された方にも呼吸の変化がはっきりと分かります。

今回は、BREVIを整形外科クリニックの臨床現場で活用している理学療法士の齋藤将也さん(ぐんまスポーツ整形外科)に、整形外科クリニックにおける呼吸評価や呼吸介入のポイントについて解説頂きます。

今回お話いただいたのは

齋藤 将也 様

理学療法士 齋藤 将也 様

(ぐんまスポーツ整形外科)

初めまして、齋藤将也と申します。私は普段、肩関節のリハビリテーションに多く携わっています。今回は私が考える整形外科クリニックにおける呼吸の重要性や、運動器疾患のリハビリテーションにおける呼吸アプローチの可能性、そしてBREVIを活用した臨床での実践例をご紹介します。

運動器疾患と呼吸の結びつき

私が臨床でテーマとしているのは、「運動器疾患と呼吸の結びつき」です。私は普段、肩関節疾患の患者さんに対するリハビリテーションを多く担当していますが、臨床の中で呼吸と肩関節機能には密接な関係があると感じています。

|呼吸と筋機能のメカニズム

例えば、肩関節疾患の患者さんが胸部と腹部が協調したゆっくりとした呼吸を獲得すると、肩関節周囲の筋緊張が軽減することをよく経験します。これは一つに、本来呼吸に関与する横隔膜・腹横筋・内腹斜筋などの筋が適切に活動することで、代償的に活動していた大胸筋、広背筋といった呼吸補助筋の過剰な緊張が抑制されるためと考えています。これらの筋は胸郭を介して上腕骨に付着しているため、過剰な筋緊張は肩関節の運動や疼痛に大きな影響を及ぼします。

|手術後の患者さんにおける問題点

特に肩関節の手術後の患者さんでは、術後疼痛や長期間の固定の影響により、大胸筋や広背筋の筋緊張がさらに高まり、防御的収縮が出現することも少なくありません。そのため私は、肩関節への局所的なアプローチに加え、呼吸を介した胸郭機能の改善にも着目し、より効果的なリハビリテーションにつなげることを意識しています。その中で活用しているのが、呼吸評価ツールであるBREVIです。

以下に、肩関節術後患者に対してBREVIを用いた呼吸介入を行った症例をご紹介します。

リハビリテーションにおける呼吸評価とBREVIの活用

|本症例の概要と手術後の課題

本症例は、腱板断裂に対して修復術を施行した60代男性です。術後早期から上肢を動かす際に防御的な筋収縮が入りやすく、本人も肩の動かしにくさを自覚していました。

さらに本症例の呼吸に着目してみると、ゆっくりとしたリズムの呼吸が行えていなかったため、呼吸を改善することで、術後の肩関節のリハビリが円滑に進むのではないか?と私は考えました。そして、術後6週の時点からBREVIによる呼吸評価・呼吸介入を実施しました。

|BREVIによる呼吸評価

BREVIによる初回測定では、呼吸数は1分間に8回と落ち着いているものの、胸部の動きが10.4mm、腹部の動きが24.5mmと、腹部の動きに対して胸部の動きが小さい呼吸パターンが確認されました。

  • 呼吸数:8回/分
  • 胸部の動き:10.4mm
  • 腹部の動き:24.5mm
術後6週目のBREVI計測結果

これは胸郭の可動性が十分に活用されていない状態を示唆しており、肩関節周囲の筋緊張や防御的収縮と関連している可能性が考えられました。

|呼吸介入の目的と実施したエクササイズ

そこで本症例に対して、呼吸機能の改善を目的とした介入を行いました。実施した呼吸エクササイズは非常にシンプルなものです。

  • 鼻から息を吸い、口から吐く
  • 呼気時に胸郭を臍の方向へ下げるイメージを持つ
  • ゆっくりとした呼吸リズム(吸気3秒・呼気8秒)で行う

このように、患者さん自身が日常生活でも取り組みやすい形で呼吸エクササイズを継続してもらいました。

齋藤将也さんが患者さんに呼吸エクササイズを指導している様子

本症例の術後経過と呼吸パターンの変化

|術後9週で見られた呼吸数の変化

術後9週目には呼吸数が1分間に4回まで低下し、ゆっくりとした安定した呼吸が獲得されていました。胸部と腹部の動きに関しては、依然として腹部優位の呼吸ではありましたが、短期間で1分間の呼吸数に変化がみられたことは臨床的にも非常に印象的でした。

  • 呼吸数:4回/分
  • 胸部の動き:10.2mm
  • 腹部の動き:22.5mm
術後9週目のBREVI計測結果

|術後11週で見られた肩関節の症状の変化

術後11週目には、防御的収縮はほぼ消失し、疼痛の訴えも少なく良好な経過となりました。呼吸数は1分間に3回となり、呼気後に一時的な呼吸停止が見られるようになりました。

  • 呼吸数:3回/分
  • 胸部の動き:19.0mm
  • 腹部の動き:32.3mm
術後11週目のBREVI計測結果

|呼吸が変化したことによる身体的変化

このような変化の中で、特に重要だったのは呼吸数の低下と呼気時間の延長です。ゆっくりとした呼吸は副交感神経活動を高め、全身の筋緊張を低下させるため、肩関節周囲の防御的収縮の軽減につながった可能性があります。また、呼吸が安定しコントロールしやすくなったことで、疼痛の感じ方にも変化が生じ、結果として疼痛の訴えの軽減につながったと考えられます。

また胸部の動きは、術後9週10.2mm→術後11週19.0mmと増加しており、胸郭の動きが改善している様子が確認されました。この胸郭の可動性が向上したことで、本来呼吸に関与する筋群が適切に機能しやすくなり、代償的に活動していた大胸筋や広背筋といった呼吸補助筋の過活動が抑制されたと考えられます。その結果、肩関節周囲の過剰な筋緊張が低下し、防御性収縮の軽減および疼痛の改善につながったと考えられます。

術後12週後の肩関節機能の改善と呼吸パターンの維持

|本症例の呼吸パターンの臨床的解釈

術後12週時点では腱の再断裂や疼痛は認められず、肩関節可動域は、屈曲140°、外転140°、外旋10°、結帯L5まで改善しました。文献上、腱板修復術後12週で挙上可動域120°が達成されていると予後が良好であるといわれているため、本症例の経過は良好と判断できます。

  • 呼吸数:3.5回/分
  • 胸部の動き:12.4mm
  • 腹部の動き:22.8mm
術後12週目のBREVI計測結果

BREVIによる評価では、腹部優位の呼吸傾向は残っていました。しかしここで重要なのは、胸部と腹部が協調しゆっくりと安定した呼吸パターンが獲得されていたこと、またその安定した呼吸パターンが、日が経っても維持できていたことだと思います。

胸腹部の動きの理想的な割合については明確な基準があるわけではありませんが、臨床的には呼吸リズムの安定と胸郭可動性の改善が得られていることが重要と考えています。本症例も今後、更なる胸郭の可動性を獲得していくことで、良好な肩関節機能が獲得できると思われた事例でした。

呼吸の可視化がもたらす臨床的メリット

本症例では、BREVIによって呼吸を可視化したことで、患者さん自身が呼吸に興味を持ち、日常生活でも呼吸を意識するようになりました。BREVIは呼吸を視覚的にフィードバックできるため、患者さんの理解やモチベーションを高め、セルフエクササイズの継続にもつながります。

結果として本症例では、以下の変化が見られました。

  • ゆっくりとした呼吸パターンの獲得
  • 肩周囲の防御性収縮の軽減
  • 良好な疼痛管理を辿ったこと

最後に

肩関節リハビリテーションでは、防御的収縮や疼痛の管理に難渋する症例も少なくありません。この問題に対して、呼吸への介入が有効な理由は主に以下の2点が考えられます。

  1. 副交感神経を優位にすることで、防御的収縮や疼痛を軽減しやすくなる
  2. 本来の呼吸筋が機能し呼吸補助筋が抑制されることで、防御的収縮を軽減しやすくなる

このように、運動器疾患の痛みや緊張と呼吸は密接に関連しているため、呼吸運動を通して呼吸リズムや呼吸機能を改善していくことが、運動器疾患の症状改善につながる可能性があります。

私は今後更に、運動器リハビリ×呼吸×BREVIという視点から臨床実践を積み重ね、新しいリハビリテーションの可能性を探っていきたいと考えています。

編集部まとめ

今回の記事から見えてくるのは、「呼吸」と「運動器疾患の症状」が密接に関係している可能性があるという点です。特に今回の記事で取り上げた肩関節のように胸郭と構造的に連動する部位においては、局所だけでなく呼吸を含めた身体の状態を捉える視点が重要になることが示唆されます。

一方で、呼吸は日常的に行われている動作であるがゆえに、変化やクセに気づきにくく、状態の把握や共有が曖昧になりやすい領域でもあります。そのため、呼吸の状態を客観的に可視化し、変化を捉えていくことは、状態理解を深める一助となり、日常での意識づけや取り組みのきっかけになると考えられます。

呼吸を“なんとなく感じるもの”から“変化に気づくもの”へ。その視点の変化が、日々のコンディションへの理解を深めるヒントになるかもしれません。

BREVIの機能や導入方法、料金などの詳細は、公式Webサイトにまとめています。呼吸の状態を客観的に把握したいと感じている方は、ぜひ一度ご覧ください。

「BREVI」の詳細はこちら

活用事例

呼吸可視化BREVIは、整形外科クリニック・治療院・ピラティス/ヨガスタジオなど、さまざまな現場で活用されています。ここでは、たとえば呼吸データをどのタイミングで測り、どのように説明・介入に活かしているのか、そして現場にどんな変化が生まれたのかなど、実例をもとに紹介します。「評価が伝わらない」「リピートの継続につながらない」といった課題に対して、呼吸を“見える化”することで何が変わるのか、導入前後の工夫やデータも含めて、ぜひ各事例をご覧ください。

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